私はなぜ小説を書くのか。<br />お金のためである。<br />――処女作が新人賞を取って売れまくり、使っても使ってもお金が入ってくる‘ぼく’、海藤正夫(かいどうまさお)。<br />昼も夜もなく、酒と女に溺れる放蕩の日々。<br />それは果てしなく続くと思われたが、ある日金が底をつき、あっけなく終わる。<br />どん底の中、小説家が見つけた真実とは? 各章ごとに文体が変貌する、佐藤正午のみに書きうる傑作。<br />