都内の出版社に勤務する松本正幸、50歳。<br />妻と一男一女のごく平凡な家庭を営む。<br />――彼は田舎に住む年老いた両親の行く末を案じ、また浪人中の息子の進路で悩む父親でもある。<br />そしてまた、地域住民との親睦を図りつつ、部下の女性と秘かに不倫を愉しむ顔も持つ。<br />様々な「顔」を持つ男の実体は……? 「企業」「恋愛」「家族」小説としても味わえる奇妙な連作長編。<br />