「やすらい花や――」春の京都に響く踊り子たちの掛け声、囃子(はやし)と笛の音。<br />玉村修(たまむらおさむ)はかつて過ごした地にやって来た。<br />決して拭(ぬぐ)えぬ罪の意識を抱えながら。<br />残酷なほどに運命を変えた女に再会するとも知らず……(「やすらいまつり」)。<br />京都の祭りの裏側で激しく燃えさかる欲望の炎。<br />京女の情念と男女の愛憎を、艶やかに優美な筆致で描いた表題作含む6編の官能短編集。<br />