こつ。<br />こつ。<br />午後1時25分、今日もハイヒールの音が町の東からゆっくりと近づいてくる。<br />足音は「僕」の仕事場のすぐわきを通り過ぎ、町の西までいくと戻ってくる。<br />そして、町の東へ消えていく。<br />彼女は、もう何年も同じ行動を繰り返し続けていたのに、ある日、足音が途絶えた……。<br />人知れずざわめき揺れる心、一瞬のロマンス──読むことの楽しさを堪能できる極上の小説集。<br />