全身全霊を込めて水無流三郎は浪人を雁金に斬り裂く。<br />もう幾人を冥土に送ったことか。<br />この男、仙台藩百二十石の藩士だ。<br />三歳より本身の脇指を受け、「竹刀は遊び、真剣で斬り覚えよ」と父から鍛え抜かれてきた。<br />二十五歳の折、藩の武芸大会で上級者を破り、恨みを買った。<br />水無は遂に同士へ必殺の刃を向ける……。<br />剣豪作家が書き遺した「牙」シリーズの大団円!