吉井利仙は名うての碁盤師。<br />使用する木には強いこだわりがあり、一年の大半は山を渡り、木を見て暮らしている。<br />人呼んで「放浪の碁盤師」。<br />16歳ながらプロの囲碁棋士である愼は、利仙がかつて棋士だったころの棋譜に惚れ込み、師と慕って行方を追いかけている。<br />囲碁をめぐる宿命に取り憑かれたような不思議な事件の数々は、二人に何をもたらすのか? 話題作『盤上の夜』以来4年ぶりの囲碁小説にして、はじめての本格ミステリ。<br />