森二のうらぶれた部屋を突然訪れた『娘』冬香の言葉が彼を突き刺した――「私、あの夜のこと、憶えているんです。<br />あなたは私の眼の前でお母さんを殺しました」。<br />森二の「奇跡」と「罪」が事件を呼び寄せ、人々と森二を結び、縛りつける。<br />更に暴走する憎悪と欲望が、彼の心と身体に、愛する人に襲いかかる! 森二は苦しみを越えて「奇跡」を起こせるのか!? 『雪の鉄樹』でブレイクした著者の哀切と感動が弾ける傑作長編小説。<br />