船越と房子は、粉雪の舞う飛騨・高山への旅に出た。<br />5年越しの不倫の恋。<br />その思い出の旅は、妊娠した房子に翻意を促す清算の旅でもあった。<br />船越の帰京後に発見された房子の服毒死体が、船越を窮地に追いつめる。<br />そして、冤罪を訴える船越が、事件の真相を知ったとき――。<br />凄絶な愛のかたちを描いた表題作のほか「喪中欠礼」「花刑」など、迸る情念を活写した傑作6編!