朝霞、新座、志木。<br />家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。<br />元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。<br />須藤とは、病院の売店で再会した。<br />中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。<br />50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる。<br />心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。<br />