江戸の北端、小塚原にある築安寺には、千里眼を持った和尚がいると評判だ。<br />だが、その正体は、食いつめ者の偽坊主。<br />幼なじみの三太と弥吉は、和尚と寺男に扮し、相談に来る者から謝礼をせしめていた。<br />亡き師匠の娘と所帯を持つはずだった噺家が、許嫁が急に心変わりしたと泣きついてきた。<br />(表題作)厄介事を、いかさま千里眼で珍妙に解決。<br />人情味溢れる傑作時代小説。<br />