家老からの密命に背き、丹波篠山藩を出奔した若き武士・小柴陽太郎。<br />杜氏についてきた灘の酒蔵で、名酒「一分」造りに勤しんでいた。<br />陽太郎は「一分」を江戸に運ぶ船に乗りこむものの難破する。<br />酒蔵は窮地に追い込まれ、時を同じくして篠山藩は財政難に陥っていた。<br />藩と酒蔵の危機を同時に打開するため、陽太郎が持ちだす起死回生の秘策とは……。<br />幕末の激動の時代、その仰け反るほどの逆風に立ち向かう青年を鮮烈に描く物語。<br />