‘私はこの事件の犯人であり、探偵であり、被害者……’一人三役というアクロバティックな設定が、主人公の手記を通して、変奏されながら明らかになっていく華麗なる本格推理。<br />同時に、この作品は、青春の傷(いた)みをせつなく感じさせる恋愛小説としての魅力も併(あわ)せ持つ(「猫の舌に釘をうて」)。<br />ほかに、郷愁を誘う幻の珠玉短篇集『哀愁新宿円舞曲』を完全収録。<br />