三代将軍家光の供をして京へ上った菊地半九郎は、一夜、祗園に遊び、その夜初めて店出しの初心(うぶ)な遊女お染に惹かれた。<br />毎夜のように通いつめる彼も、いずれは江戸へ帰らねばならぬ身の上。<br />やがて別れの日は迫り、追いつめられた二人の行く手には苛酷な運命が……(「鳥辺山心中」)。<br />浮世のしがらみを振り切って、恋に命を賭ける男女の情をこまやかに描いた情話集。<br />全5編。<br />