元クリエイターの夫と築45年の団地で倹しく暮らす59歳の私。<br />無職の男を養い、遠い実家で独居する惚けた父の介護に行き来する日々。<br />入退院、施設探し、説得、契約、留守宅の管理。<br />時間に、お金に、人間に、振り回され、仕事は、定年は、介護の終わりは……。<br />そんな矢先、夫に癌が見つかる。<br />神は老いた父の死を願うような不埒な私に、罰として私の一番大切なものを奪うことに決めたのだ。<br />還暦女のリアルな日常が胸を衝く、切実小説。<br />