鬼が出ると噂の安義橋(あぎのはし)を渡ることになった太郎暮房(たろうくれふさ)。<br />恐る恐る橋を進むと、艶やかな髪と白い肌を持つ見目麗しい女が立っていた。<br />女は太郎暮房を呼び止め、思いがけないことを口にする。<br />(「安義橋秘聞」) 人の心は、鬼よりも不可思議で恐ろしい。<br />恐怖、哀切、妖艶、感嘆――。<br />鬼にまつわる説話を大胆に脚色した、奇想と怪異の短編集。<br />