――家族に囲まれた幸せな日常に落ちた影。<br />柴田澪は、夫の昌彦、娘の雪那と義母と暮らしている。<br />小学1年の娘の笑顔は胸がしめつけられるほどかわいい。<br />ある日、友人の見舞いに行った病院で、一時として忘れたことのなかった父の名前を聞いてしまう。<br />「今の生活を守らなければ!」。<br />余命に限りのある父親との再会が、あてのない逃避行の始まりだった――。<br />