不浄な首斬人と蔑まれる生業を祖父、父から継いだ別所龍玄は、まだ若侍ながら恐ろしい剣の使い手。<br />親子三代のなかで一番の腕利きとなった彼は、武士が切腹するときの介添役を依頼されるようになる。<br />御家人や旗本相手の金貸業で別所家を守ってきた母・静江、五つ年上で幼い頃から龍玄の憧れだった妻・百合と幼子の娘・杏子。<br />静かに厳かに命と向き合い、慈愛に満ちた日々を家族と過ごす、若き凄腕介錯人の極致。<br />