同心・成沢東一郎抱えの密偵、お紋は、身なりの貧しい少女を尾行していた。<br />盗みを働いても店の者は見逃している。<br />その子は弟と共に母から半ば捨てられたような暮らしをしていた。<br />見兼ねたお紋が世話を買って出るが、ある日少女が家を出たきり戻って来ない――。<br />（「捨て親」） 図らずも道を間違え、悪事という泥沼にはまった者たちに、定廻り同心・成沢の真心が沁みる。<br />
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