天下泰平の世にあって、平山行蔵は異彩を放っていた。<br />伊賀の流れを引く武家として、厳しい鍛錬に明け暮れ、女は修業の妨げ、と目もくれない。<br />ある夜、友人に酔い潰された行蔵が目を覚ますと、かたわらには艶やかな女が……。<br />(「べらんめえ侍」) 色と欲に目がくらんだ破戒僧、盗人、やくざもの、赤穂義士……江戸の町の群像を切れ味鋭く描いた傑作短編集!(『江戸智能犯』改題)