御先手同心・長谷川冬馬と妻の樹緒は、無類のねこ好きだ。<br />夫婦には子がなく、子宝を祈願して回る寺院に住みつくのらねこを虎太郎と名づけて可愛がる。<br />やがて二人に男の子が生まれ、虎次郎と命名した。<br />ある夜、冬馬は床屋の帰り道、木天蓼(またたび)を用いてねこを狙う男を捕まえたことから思わぬ事件が……(表題作)。<br />綿密な考証に基づき、趣向を凝らした極上作9編を収録。<br />(『羅漢台』改題)