松江市内の鰻料理(川郷)の店主がつくる〃鰻のたたき〃は、常連たちに定評がある。<br />間口一間半の小さな店で、これを肴に呑む単身赴任のサラリーマンと、店主夫婦が板場越しに交わす〃人の情〃。<br />それでも、別れは必ずついてまわるもの。<br />「因果な商売だな、まったく」店主が、ふっと言った。<br />市政の人々の温かいまなざしと人生の哀歓を描く、傑作選。<br />