士族の家に生まれた綺堂が、幼少のころに住んでいた旗本屋敷は、有名な幽霊屋敷だった。<br />この世に怨みをもって出る日本の幽霊とは異なり、中国の幽霊は一見なんの縁(ゆかり)もないところにあらわれる。<br />そこが怖い。<br />中国の怪奇譚(たん)に造詣が深い綺堂が、六朝(りくちょう)から清(しん)に至る各時代の中から220種を抄出(しょうしゅつ)して名訳。<br />妖気ただよう幻想の世界へ読者を誘う、中国怪奇傑作集。<br />