昭和15年。<br />徴用を逃れるために京畿道の道庁に勤める谷は、担当する地区の地主が創始改名に応じないことに苦悩する(「族譜」)。<br />京城で絵画教師をする野口は、妓生の踊る伝統の宮廷舞踊を描くことに奮闘するが――。<br />(「李朝残影」) 日本統治時代の朝鮮で生まれ育った作家が、侵略と戦争に翻弄される個人の葛藤とその悲劇を鋭く描き出す。<br />今も色褪せない5編を収録。<br />