ひとかどの父へ
大学を卒業した朋美にとって父親の記憶はおぼろだ。
父の膝の上に抱かれた記憶、煙草の匂い、顎にある大きなほくろ。
活動家で、理想の世界実現に燃えてい た、立派な男――まだ見ぬ父を思うたびに切なくなる。
ところが、実業家の母である清子が衆議院議員に立候補した折、夫が在日朝鮮人であったことが報道さ れ、朋美はその事実に衝撃を受ける。
なぜ母はそれを黙っていたのか。
不安と怒り、拒 絶、落胆……複雑な感情が渦巻く。
崩れていく理想像。
父親の正体はいったい誰だったのか。
自身のアイデンティティと向き合うために、朋美は父親の足跡を辿 る。
一方、日本人である母親と父との出会いにも、秘められたドラマがあった…。
母子三代にわたる在日の家族を描く、感動の物語。
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