とある海辺の集落「浦」に、時が淀み、謎が漂う。<br />教師と恋に落ちた少女、奇妙な昔語りにふける四人組の老人。<br />半世紀あまりの脱線につぐ脱線の記憶と現在の物語…。<br />筒井康隆氏から「少しほめ過ぎになるが、小生は『ガルシア=マルケス+中上健次』という感銘を得た」とも評された第15回三島由紀夫賞受賞の表題作に、第12回朝日新人文学賞受賞のデビュー作「水に埋もれる墓」を併録して文庫化。<br />