時は江戸。<br />下駄屋の末息子の希介は美しい女子(おなご)風情。<br />町で見惚れた美丈夫は、よく昔夢に見て恋をした香之介という男だった。<br />実は香之介は十年前、修行に出る前に下駄屋で希介に出会い、「二十歳になりましたら迎えに来ます」と想いを告げた大きな呉服屋の息子だった。<br />出かけた先で茶屋に入り、香之介に抱き締められた希介だが、希介という名前と『お嬢さん』ではない素性を打ち明ける機会を見つけられない。<br />そのまま香之介の想いに流され……。<br />