初恋草紙
時は江戸。
簪や小物を扱う問屋の娘の紅未(くみ)は十七歳。
店のお抱えの錺職人の二十七歳になる青太郎(せいたろう)を初めて会った二年前の春から想い続け、偶然会えた時のためにと着物を誂えているが、未だに言葉すら交わせず、顔を合わせられたのも五回ほど。
会いたさに紅未は青太郎の家を訪ねる。
青太郎はその日、簪を一本紅未にくれた。
新作だと喜ぶ紅未だったが、その後青太郎の卸した簪にもらったものと同じ簪も似た簪もなく、青太郎は紅未と顔を合わせずに帰ってしまい……。
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