「殺してやる」殺意を胸に陽子がふと視線を傍聴席にむけた。<br />座っている青年に気づいた。<br />女心をわかれとは言わない。<br />でも、もっと違うやり方があったはずだ。<br />去っていくお前を繋ぎ止めたかったんじゃない。<br />多香子はきちんと別れたかった。<br />明日を生きるために。<br />望まぬ女体化された肉体。<br />香川はこれからに震えあがった。<br />