「ぼくはただ、ひとりでにぼくのなかから生まれ出ようとするものを、生きてみようと思っただけだ。<br />それがどうしてこんなにもむずかしいものだったのだろうか?」……幼くしてジンクレールは両親の家の「明るい世界」と、下女や職人の「暗い世界」の存在に気づく。<br />そしてまたたくまに「暗い世界」へと引きずりこまれる。<br />そこに現われたのが自信に満ちた導き手の「デーミアン」だった。<br />潜在意識の世界への探求にむかった、ヘッセ後期の出発点となった記念碑的作品。<br />