ガール河岸の今は傾きかけている老舗(しにせ)のビスケット会社。<br />その当主が深夜、自室で胸を撃たれて死んだ。<br />荒れすさんだ広壮な屋敷・事務所に細々と暮らす一族は、だれひとり、銃声を聞かなかったという。<br />メグレは執拗にそのことにこだわった。<br />