とらえたかと思った瞬間に逃げ去る幻影《ヴィジョン》。<br />『燈台へ』の作中人物は、それを追いつづける。<br />それは悲劇であり、哀歌でもあるが、にもかかわらず、明るさと救いが与えられる。<br />「生は、意識をもったその最初から終局に至るまで、われわれをとり巻いている半透明な《かさ》…この定まらぬ、未知の、とらえがたい《スピリット》を書きあらわすことが、小説家の仕事ではないだろうか？」ウルフはこう書いた。<br />
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