江戸には、十指にあまる剣豪が道場を構えていた。<br />これらの一流の強者に挑戦するのが、武蔵の宿命であった。<br />けれども、その前に宍戸梅軒を斬らねば。<br />但馬守宗矩の柳生流を破り、佐々木小次郎と雌雄を決せねば。<br />武蔵の血汐は湧きたつ。<br />小次郎を余人の手で斬らせはしない。<br />仕留めるのはこのおれだ。<br />そして迎えた船島の朝…