シェリとは《可愛いひと》の意味で、女性が愛人の男性を呼ぶのに用いられる。<br />したがって『シェリ』は、男性が主人公と思われそうだが、むしろ女性のレアの方により多く比重がかかっている。<br />まるで自分の子供のように愛していた若い男から、不意打ちをくって、これまで経験したことのないような恋の喜びをおぼえながら、あきらめざるをえないレアの哀切な心情……6年後に書かれた『シェリの最後』とともに、コレットの最高傑作といわれる。<br />