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夏の黄昏

南部の小さな町に育った十二歳の少女。
背丈ばかりのびて、近所の子どもから仲間はずれになっている少女の夏の出来事。
この少女の心の孤独感は、仲間はずれになったことのある誰の心にも消えがたく残っている。
そして自分がどこかのグループに属したい、誰かに認められたいという願望も。
この作品はこの深くて鋭い心情をとらえて、あますところがない。
しかしその卓越している点は、空気さえ感ぜしめる描写の力だ。
人は空気によって生きるように、この作品の三人――少女と少年と黒人女性――は作中の暑い夏の空気を呼吸して生きている。
その空気は狭いキチンにいる三人の息遣いを伝え、その絶妙の会話を伝える。
外で遊ぶ子供たちの叫び、ピアノの調律音、猿まわしの演奏するオルガンの音、照りつける街なかの白い光などを伝え、その脈搏によってこの作品を日常の次元よりも高い、不思議な雰囲気のものにしている(訳者あとがき)。
「結婚式のメンバー」という訳書もあるマッカラーズの代表作。




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