車椅子暮らしを強いられた60歳になる全身不随のジャネットに残された希望は、太陽と青空と息子の声だけだった。<br />口もきけず、字も書けなかった。<br />手まねで合図も送れなかった。<br />それなのに情夫とグルになった嫁に息子が毒ガスで殺されそうになっていることを知ったのだ。<br />できるのは「まばたき」によるイエスとノーの合図だけ……この表題作「見つめる目」のほか、「殺しの足音」「九一三号室の謎」を収めた傑作短編集。<br />