銀行の頭取に出世した堅気な弁護士ヘルメルと妻ノーラとは、仲むつまじい夫婦であった。<br />だがノーラには、夫が病に冒されたときに、借用証書に偽りの署名までして内緒で工面した借金があった。<br />その借金の相手はヘルメルによって職場をくびにされると、秘密の暴露とひきかえにノーラに、復職を夫に働きかけるよう迫る。<br />スキャンダルは危うく未然に回避されるが……ノーラは決然として子どもと家を捨てて出ていく。<br />人間の心のうちを描く近代劇の出発点となった記念碑的作品。<br />