軍隊から戻ると、空き家になった家には母が残していった整理箪笥しかなかった。<br />ヘイズは汽車に乗り、知らない街へ行き、説教師の帽子を被ったまま売春宿に入った。<br />やがて彼は中古自動車の上に立ち、「キリストのいない教会」を説きはじめた。<br />祖父の志を継いだのだ。<br />どす黒いユーモア、人々への容赦ない眼差し、登場する人びとのやり取りはぎくしゃくして、しばしば意味不明に。<br />「賢い血」とはいったいなにをさすのか。<br />