空気を求めて
腹の出た中年男ボウリングは日々の暮らしに倦み、田舎へ帰ってみようと思う。
幻の大魚を追った少年時が頭をよぎる。
だが時代はそんな牧歌的な夢を阻む。
「戦争! それはまもなくやってくるだろう、それは確かだ。
だが問題なのは戦後だ。
憎しみの世界、スローガンの世界。
色シャツ、鉄条網、ゴムの警棒。
電燈が昼となく夜となく点いている監房、パレードと、巨頭の顔を画いたポスター、百万人の群衆がいっせいに指導者に向かって歓呼の声を上げ…」主人公の独白ですすむ現代のオデュッセイ。
第二次世界大戦直前に発表され、戦後の『一九八四年』を予見させる作品。
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