壮大な「ヨクナパトーファ物語(サーガ)」のなかの代表作の一つ。<br />主人公トマス・サトペンは、旧い南部のひとつの典型である。<br />「土地と黒人と立派な家」を手に入れようと奮闘し、それを見事に実現したが、最初の妻に混っていた黒人の血の故に、サトペン家の一族は滅亡の道を辿る。<br />その悲劇、宿命は、とりもなおさず南部の悲劇、宿命であり、しかも南部という風土の魔力と複雑さを反映して、底知れぬ怖ろしさをもたたえている。<br />