あなたが欲しい
わたしは三十路目前で職場結婚し、娘が生まれたのを機に仕事を辞めて専業主婦になった。
夫は仕事も出来て、非の打ち所がない理想の結婚相手だった。
絵に描いたような幸せな生活……。
わたしはその中で理想の女であろうと家事も育児も頑張っていた。
でも、夫はそんな姿を評価してくれない。
何でも自分本位で、セックスもまったく気持ちよくなかった。
夫に抱かれながら思い出すのは、一度だけ家に来たことのある男のこと。
夫の同僚で、50代の冴えない熊のような男だ。
夫にはバカにされていたが、その男はわたしの料理を褒めてくれた。
掃除の行き届いたリビングを見て感心してくれた。
頑張りを認めてくれた彼にひたすら甘やかされたいという妄想に駆られたが、もちろんそんなことはできなかった。
思いを引きずるまま1年後、あの男がまた家に来ることになり……。
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