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シネマの愛人

梶谷誠司は52歳の会社員。
映画鑑賞が趣味だが、結婚して20年になる妻は付き合ってくれず、仕方なくひとりで足繁く映画館に通っていた。
ある日、古き良き名画を映画館で見終わったあと、マニアばかりの館内に似合わない華やかな若い美人を目撃する。
顎の下あたりで切り揃えられた内巻きの栗毛。
気の強そうな切れ上がった目元に、艶やかなリップグロスの塗られた唇が印象的で、グラマラスな肢体も目を引く。
別の映画館でも彼女を見かけて、思わず声をかけた。
彼女の名前は美玖。
26歳の小劇場の女優で、演技の勉強のために映画を見始めてハマったという。
その後、2人で一緒に名画を観に行く関係になった。
名作『丑三つの村』も観に行くことになったが、彼女は残虐なシーンが苦手なようで、手を握ってきた。
それどころか、誠司の指を太ももに誘ってきて、吐息を漏らし……。




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