エウロパの底から
私は小説家だ。
そしてこれは私の小説だ。
私が心血を注いだ惨殺があり、私が身を削るように描いた苦悩がある。
文の始まりから果てまで、すべてが私だ。
事件は私の書いた小説の通りに起きていた。
犠牲者、殺害の方法、現場の描写。
すべてが私の描いたとおりに。
私の見る『小説』通りに。
こんな殺し方ができるのは誰だ。
こんな小説が書けるのは、なぜだ。
警察も、被害者も、加害者も私を疑う。
『犯人』と決めつける。
だが私は『犯人』ではない。
私は、小説家なのだ。
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