昨日は彼女も恋してた
『過去の改変』 から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。
そして、もうひとつ。
わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。
歩いている。
わたしが、進んでいる。
自分の足で。
わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。
慣れきっている。
この世界の 『現在』 では、彼は九年前に死んでいた。
その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。
わたしが歩ける毎日。
それは彼が死んだ現代。
まるで別の星へ飛んできてしまったようだった。
決めた。
わたしは必ず取り返す。
わたしと彼がいた世界を。
必ず。
『昨日は彼女も恋してた』 と上下巻構成。
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