古都・奈良にあって、歴史的な趣きを残した町家が立ち並ぶ「奈良町」。<br />奈良町の一角にある「くすば菓子店」の息子・楠葉シノブは、奈良ではもう最後となる、由緒正しい陰陽師だった。<br />シノブが取り仕切るのは、奈良で起こる不思議の一切。<br />祭りの夜を待つ青衣の女人、ご機嫌ななめな女神様、走る大黒様まであらわれる奈良町で、猫又の墨香や幼馴染のゆかりに見守られながら、シノブは今日も不思議を解きほぐす――歴史薫る古都から贈る、優しいあやかしファンタジー。<br />