月王
藤菜は駆けた、何かから逃れるように。
藤菜が逃れたいもの、それは世にも稀な美貌の持ち主、夜叉だ。
都の公達らしい上品な立ち居振る舞いとうっとりするほどの美貌の陰に冷酷で残忍な心が宿っていることを、夜叉に仕える藤菜は嫌という程、知っていた。
逃れたいが、逃れられない藤菜は、今日も夜叉の言いつけで走った。
ある平和な村に罠を張るために。
しかし、その村で藤菜は清廉な青年・月王と出会う。
藤菜の、月王の宿命が静かに動きだした…。
第七回ファンタジア大賞佳作受賞のドラマチック・ファンタジー、いよいよ登場。
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