寛政年間のこと、出世の道を歩んでいたはずの数馬は、「山流し」と蔑称される甲府への転出を命じられた。<br />理不尽な左遷に憤る数馬が、家族とともに向かった甲府で見たものは、城下の賑わいとは裏腹に、風紀の乱れた、荒んだ武士たちの姿だった。<br />新参いじめを謎の女に救われた数馬は、不思議な盗賊騒ぎに巻き込まれていく…。<br />江戸では見えなかったこと、逆境の中でこそ知り得たものとは、何だったのか? 気鋭が放つ時代長編!