私は市立高校の二年生。<br />父と弟と三人で団地住まい。<br />母は五年前に亡くなった。<br />母のいない寂しさはちょっぴりあるものの楽しく暮らしている。<br />「どうや、道子に健、明日の朝、ひとつ散歩にいってみるか」――土曜日の晩、父は珍しいことを言った。<br />酔うと理想主義者になる父である。<br />酔っぱらったのかと思ったが、これは、なかなかに意味深長な、意外な伏線であった……。<br />思春期の少女と父の再婚話を、明るく、ほのぼのと描くジュブナイル長篇。<br />