目覚めると、私は闇の中にいた。<br />交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。<br />残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。<br />ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見たて、日々の想いを演奏で伝えることを思いつく。<br />それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが……。<br />表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし「ウソカノ」の2作を初収録。<br />