江戸末期、戦地に赴く信之助を泣きそうな顔で見送る香苗。<br />再会の願いも空しく時は過ぎ、尼僧になった香苗は救護院に流れ着いた老人の姿に息を呑む(「春いくたび」)。<br />貧にして餓死するは武士の本懐なり。<br />亡父の教え通り、最後の一夜を迎える兄妹。<br />しかし、そこに突然激しい剣の音が(「武道宵節句」)。<br />昭和の少年少女のために、山本周五郎が心とことばを尽くした短篇の中から時代小説10篇を収録。<br />