もし、私の声が母に似ていなかったら、何も起こらなかったかもしれない。<br />でも、そんなこと、今さら言ってみてもしかたがない。<br />家にかかってきた一本の電話――。<br />それは私の心に母へのはじめての疑惑を芽生えさせ、私を大人の世界に迷いこませるものだった……。<br />私、沖野瞳。<br />大人と子供、男と女の間で微妙に揺れる多感な年ごろ。<br />超ベストセラー作家が、〈17歳〉の少女だけがもつきらめきと危うさを見事に描いてみせた青春ミステリー。<br />